管理栄養士は食のプロ。
仕事で、クライアント様の商品についてコメントを求められたり、記事監修の仕事を受けたりすることがあります。
そこで気になるのが「薬機法」や「健康増進法」。
今回は管理栄養士が気をつけたい「薬機法」について解説します。
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近年、薬機法など法律関連による規制が厳しくなり、監視がさらに厳しくなったため行政指導や罰則を受ける事例を見かける機会が増えました。
さらに2021年から景品表示法だけでなく、「薬機法」でも課徴金が課されることになります。
薬機法が関係する商品のコメントや記事作成の依頼を受けた時には注意が必要です。
管理栄養士が気をつけたい薬機法
管理栄養士は食の知識が豊富なため、食品の広告としてコメントや媒体の記事作成、監修のお仕事を依頼されることがあります。
その時知っておきたい法律がいくつかあります。
その一つに薬機法があります。
薬機法とは
薬機法とは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の略。
下記の薬機法の目的を見てわかるように、薬機法で規制される商品は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品のです。
第1条 この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品(以下「医薬品等」という。)の品質、有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止のために必要な規制を行うとともに、指定薬物の規制に関する措置を講ずるほか、医療上特にその必要性が高い医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする。
直接、健康食品が制限を受ける法律ではありません。
では、なぜ健康食品と薬機法が関係しているのでしょうか?
関係してくる理由は、健康食品が薬機法で定めるように医薬品のような効能や使い方を示したり、医薬品にしか使用できない原料を使用した場合、薬機法違反となる可能性があります。
健康食品とは
ここでもう一つの疑問、「そもそも健康食品とは何?」ということ。
健康食品と聞くと、サプリメントなどをイメージする方も多いかと思います。
実は健康食品には、正式な定義はありません。
一般的に健康食品は、普通の食品より「健康に良い」という食品のことをさし、食材、おかし、飲料、サプリメントなどが含まれます。
薬機法に関わらないと思っていた食品が実は「薬機法を意識する必要がある食品だった」ということがあります。
またここでもう一つの疑問が生じるかと思います。
健康食品と明らか食品の違いです。(後日解説します。)
ここではまず健康食品であると仮定して解説をしていきます。
健康食品で気をつけなければならない表現
先ほど示したように健康食品であった場合、医薬品のような効果を表現すると薬機法違反となります。
いくつか具体的な例をご紹介します。
病気の治療又は予防を目的とする表現
健康食品の場合、病気の治療または予防を目的とする効果を表現することができません。
具体的には下記の通りです。
- 生活習慣病の予防に役立ちます。
- メタボリックシンドロームの方にぴったりな商品です。
- ガンに効果があります。
- 動脈硬化を防ぐ働きがあります。
- 便秘でお困りの方にもオススメです。
- 高血圧が改善します。
「生活習慣病の予防」など使いたくなりがちの言葉も健康食品の場合、実は注意が必要です。
体の機能の増強、増進を目的とする表現
体の機能の増強、増進を目的とする表現は医薬品的な効能効果になるため、健康食品では表現ができません。
- 筋肉のダメージを素早く修繕。
- 疲労回復に期待大です。
- 老化防止にも大活躍。
- アンチエイジング成分で若さを保ちます。
- 体内の脂肪を燃焼させます。
- 血液をサラサラする効果があります。
- 風邪も引きにくい強い体作りに!
- 子供の学力アップに毎朝お召し上がりください。
- 新陳代謝を高めます。
- シミやソバカスを防ぎます。
管理栄養士は栄養学の知識があるため、例えばビタミンCが含まれている商品に対して、「抗酸化作用もあり、動脈硬化予防にも」と書きたくなることがありますが、健康食品の場合、書くことができません。
書いてしまうと効果の保証となるためです。
ここに記載したことはほんの一例です。
他にも、起源、由来などの説明で、疾病の予防を暗示することも薬機法違反となる可能性があるので注意が必要です。
肌やおなかの調子を良くするなど特定の部位に対しての効果効能も表現できません。
※ただし、「特定保健用食品」は、特定の保健機能の表示、「栄養機能食品」は栄養機能の表示をすることが認められています。ただし、景表法や健康増進法には同様に注意が必要です。
明らか食品はなんでも書いて良い?
「明らか食品」である場合、効能をうたっても薬事法には違反しません。
しかし、なんでも書いて良いわけではありません。
効能によっては「健康増進法26条」に違反する場合があるため、注意が必要です。
管理栄養士と薬機法
インターネットやSNSの普及で、情報発信が簡単にできるようになりました。
簡単に情報発信できる時代ですが、食品の宣伝をするときには注意が必要です。
管理栄養士は食のプロとして、情報を発信する機会も多くあるかと思います。
薬機法について理解しておくことが、大切なクライアント様や自身の信頼を守るためにも大切になります。